先日、とある企業の経営者様からコーポレートカラー選定のご依頼をいただき、考えに考えた末に「エメラルドグリーン」をご提案しました。
この「ご提案」の場面は、私にとってとても緊張する、ドキドキの場面です。
仮に、この色は嫌だ、違うと言われても、その企業を表現するための最上の一色を、色々な方向から考えてご提案しているので、嫌だ、違うと言われたら、最上の一色でなくなってしまうからです。
例によってドキドキしながら、その企業の経営者様の前に「エメラルドグリーン」を出したところ、一瞬、シーン…となり、ややあってから「良い意味で衝撃を受けています」と言われました。
聞けば、その経営者様がまだ学生だった頃に、どなたかに「あなたは緑は似合わない!」と断言され、それ以来、お洋服もそれ以外のアイテムも、緑は避けて通って来たとのこと。
それなのに私が目の前に、よりによってその緑を出したので、それはそれは、驚かれたことと思います。
でも「潤さんが緑を選んでくださったので、緑のトラウマが無くなりました。これからは、緑も使うことができます」とおっしゃって帰られました。
その時は私も、緊張して余裕が無かったということもあり、そのお言葉通りの意味でしか受け取っていなかったのですが、3週間経った今日になって、その方がものすごい決断をして、緑を受け入れてくださったことを実感し、感動し、涙が出て来ました。
何十年も避けて通って来た、緑。
それなのに、自分が立ち上げた会社のメインカラーとして、選ばれて、目の前に出されてしまった。
これを受け入れるのは、「今までと違うことをやってみる!」という強い勇気と決断が必要だったと思うのです。
何十年も避けて通って来た色を受け入れるのですから、並大抵の決断ではないと思うのです。
私は、コーポレートカラーを選定する時は、経営者様の好きな色は、敢えて聞きません。
経営者様が好きな色と、会社の魅力を表現できる色は同じ軸に存在していないので、聞いても意味が無いし、そもそも好きな色をそのままコーポレートカラーにするのであれば、私は要らないと思うからです。
なので、経営者様にとっては 、想定外の色をご提案することもあります。
今回は、想定外の色が飛んで来たのに、ご自分の人生と照らし合わせて受け入れる決断をしてくださった、経営者様の勇気と度量に頭が下がりました。
こんな経験ができて、琴線に触れて涙が出るので、この仕事は辞められません。
こんな経験ができるのは、こんなことで涙が出るのは、天職の証拠だと思います。
これからも、色にまみれます。
本当にどうもありがとうございました。