05.16

ブランドカラーに必要な国際感覚
海外展開の前に知っておきたい、色彩イメージのお国柄とは?
こんにちは。『週刊目黒潤』編集部員Sです。
本誌編集長・目黒潤は、企業ブランディングの専門家。特に色彩の分野では、独自理論で特許を3つ取得しており、ブランドカラー(コーポレートカラー)の設計は得意中の得意です。特許の詳細や実績例について、こちらのページもご参照ください。
https://ginza-mederu.com/philosophy/
ブランドカラー(コーポレートカラー)とは
企業やブランドの世界観や価値観を、視覚情報で伝えるための軸となる色のこと。ロゴマークやWebサイト、パンフレット、商品パッケージ、店舗やオフィスの内装など、私たちは日常のさまざまな場面で、無意識のうちに企業の色を目にしています。そしてその色から「信頼できる」「温かい」「創造的」といったイメージを無意識に受け取っています。
つまり、ブランドカラー(コーポレートカラー)は、企業が「どんな存在でありたいのか」「どんな価値を大切にしているのか」といった志や想いを、社会に伝えるための重要なコミュニケーション手段です。自社にふさわしい色は、旗印となり、前に進むための大きな力となります。
今回のコラムも、色を軸としたお題。
実は、色から伝わるイメージが、日本と海外で違う場合がある!
という、ちょっとびっくりなお話です。例によって、私・編集部員Sの個人的視点を交えて、お伝えします。
癒しの色を、軽々しく使うと不敬に当たる国もある

国が変われば、伝わるイメージが変わる色。その例をいくつか挙げてみます。
「緑」
日本では自然や安心、癒しのイメージがあります。しかし、イスラム圏では預言者の色として神聖視されており、軽々しく使うことが不敬に当たる場合があります。
「黄色」
日本では明るさ・親しみやすさといったイメージがあり、子ども向けの商品カラーに選ばれることも多い色。それがフランスでは、嫉妬や不貞を連想させる色とされることがあります。
「紫」
日本でも欧米でも、高貴・上品な色の代表格。しかし、ブラジルでは、死や悲しみを連想させる色。死者への追悼を表す色として、葬儀の装飾で使われています。
「白」
日本では、清潔・誠実・純粋さの象徴とされることが多く、医療・食品・美容系のブランドのイメージカラーによく選ばれています。ところが、中国・韓国・インドなどアジアの多くの国では、ブラジルにおける紫同様、死や喪に結びつく色となります。
このように、同じ色でも国が変われば、その色の持つイメージが異なる場合は少なくないのです。
知らずに海外進出やインバウンド向け事業をスタートさせてしまうと、その国の方に、意図していないメッセージが伝わってしまうかもしれないんですね。自社の色が、ターゲットとする国や文化圏でどんな意味に受け取られるか、一度考えてみる必要があるでしょう。
「赤ヘル」のイメージカラーの生みの親は、実はアメリカ人だった!

ちなみに私・編集部員Sは広島出身で大のカープファン。カープの色といえば、誰もが「赤」と答えますよね。ですが実は、昔のカープのイメージカラーは紺色だったこと、ご存じでしょうか?
カープカラーが赤に変わったのは、1975年。ある監督が就任した年です。その監督の名はジョー・ルーツ。アメリカ出身でした。
ルーツ監督が就任早々にまず着手したことの一つが、チームカラーを変えることでした。帽子とヘルメットを、燃えるような赤にしたのです。
なぜか。
カープは、それまで万年最下位の超弱小球団でした。負け犬根性が沁みついた弱気なチーム体質を、ルーツ監督は変えたかった。だから、チームのイメージカラーを、アメリカで「闘い」「闘志」の象徴である赤にしたのです。
そしてその年、見事カープは初優勝を果たしました。もちろん、選手自身の努力の賜物であることは大前提ですが、ルーツ監督の思惑通り「色」の効果もあったのでしょうか。
色を変える勇気を持つこと自体が、人と組織を前に進める力になる

目黒編集長に訊いてみたところ、このような答えでした。
ルーツ監督のやったことは、理に適っている。人は、赤を見るとアドレナリンが分泌され、循環器系を刺激し、血流が促進される。その効果は国籍を問わない。血流がよくなると、興奮したり元気が出るので、闘志も沸きやすくなる。
特に、カープは頭部(ヘルメット)という大事な部分が赤になった。それが、選手たちの闘志に火をつけ、考え方や行動に影響を及ぼすことは十分に頷ける、と。
なるほど、と思いました。赤って、日本では、紅白饅頭や鳥居などに使われているので「お祝いごとの色」という印象を持っていましたが「闘いの色」でもあるんですね。
目黒編集長はさらに続けました。「これが、元から赤のチームカラーだったとしたら、ここまでの効果は、なかったのではないか」と。
日本人は元来、自分の闘志をむき出しにすることに慣れていない。奥ゆかしさや恥ずかしさの感覚が強い国民性だから。実際、目黒編集長がパーソナルカラー分析で「赤が似合いますよ!」とお伝えしても、ほぼ100%の方が抵抗を示される。
しかし、だからこそ、勇気を出してそこを乗り越えた人にこそ「変われるチャンス」が到来するのだ、と。
確かに、イメージカラーが赤に変わると知ったカープ選手の多くは「恥ずかしい」と、戸惑いや抵抗を示したと言われています。イメージカラーの思いきった刷新自体が、強くなるための試練だった。カープはそれを乗り越えた。それが、目黒編集長の見立てでした。面白いですね!
国民性が違っても、根底にある「想い」は同じだった

余談があります。ルーツ監督は、カープ優勝の瞬間には立ち会っていません。彼はなんと開幕からわずか15試合目で、電撃退任してしまっていたのです。理由は、あまりにも怒りっぽかったから。
審判の判定に度々抗議したり、時には、退場勧告に従わずにグランドに居座って試合を中断させたり。最終的に、怒って辞めたそうです(実は解任されたのでは、という説もあります)。
まさに、イメージカラーそのままの「闘う監督」だったのですね。
ただ、選手たち自身には、赤ヘルになったからといって、気性が荒くなったり、抗議や乱闘が増えたという話は聞きません。そもそも、他者に闘志をむき出しにして食ってかかることは、日本人の気質には合いませんよね。
ルーツ監督の喧嘩上等スタイルは、アメリカ的な闘志。そのままでは、日本人の国民性には馴染まなかった。でも「勝ちたい」「強くなりたい」「優勝したい」という想いは、アメリカ人監督も日本人選手も、同じだった。
だから、闘志は闘志でも、日本的な――例えば「厳しい猛練習を続けて己に打ち勝つ」「小さなヒットでも果敢に一つ先の塁を狙う」といった、自分の内側で燃える闘志になった。その闘志を表す旗印として、やはり赤が最適だった。だから、当初の戸惑いや抵抗を乗り越え、赤はカープの色になった。そういうことではないでしょうか。
「受け入れてもらいやすい色」を選ぶのではなく「伝えたい想い」ありきの戦略を

ついつい、好きな球団のことを語り過ぎてしまいましたが、ここまでの話から私が学んだのは――
海外進出を考える時に「この色は、この国にどう受け入れられるか」を意識することは、確かに重要。でも、それが第一ではない、ということ。
どの国をターゲットにするにせよ、何より大切なのは、自分たちが「こんな価値を生み出したい」というブレない想いである、ということ。
その上で、海外向けにブランドカラー(コーポレートカラー)を微調整するべきという結論に達すれば、そうすればいい。想いをまっすぐに伝えるためには国内向けのブランドカラー(コーポレートカラー)のままで通すべきと腹が決まったら、そうすればいい。
いずれにせよ、ブレない想いがあれば、国境を越えてそれを届けるための最適解は、必ず見つかります。国内向けよりも繊細で複雑な戦略や工夫が必要になりますが、恐れなくて大丈夫です。目黒潤が特許取得の独自理論をフル活用して、お手伝いします。
まずは、ご相談ください。




