06.08

ちょっとの変化で驚かせたい!
ロゴマークのマイナーチェンジを成功させる法則とは?
こんにちは。『週刊目黒潤』編集部員Sです。
今回は、MeDeRuにもご相談をいただくことの多い題材・企業ロゴマークについて取り上げます。
企業やブランドの顔であり、旗印。ブランディングにおける最重要課題の一つですね。
――――――――
ロゴマークとは:
企業やブランドなどを象徴するマークのこと。一般的に、配色はブランドカラー(コーポレートカラー)と紐づいており、ブランドイメージを顧客に記憶してもらうための重要な要素となる。会社案内、名刺、WEBサイト、看板、商品パッケージ、商品本体など、企業が外に情報に発信する際のあらゆる場面で用いられる。
長く使えば使うほど、世の中に認識され、人々の心に企業やブランドイメージを記憶させ、愛着を生み出す効果を期待できる。
――――――――
今回、考えていきたいのは
「老舗企業が、ロゴマークのマイナーチェンジを成功させるために必要なこと」
です。
本コラムで何度かお伝えしてきた通り、ロゴマークは長年変わらないからこそ、世の中に浸透し、受け入れられるもの。「これはあの会社(ブランド)のマークだ」という「おなじみ感」が、見る人に愛着や安心感、信頼感を与え、ファンづくりの鍵になります。変えることは、少なからぬリスクを伴います。
かと言って、あまりにも長く変えずにいると、マンネリやトレンド遅れのイメージを与えてしまう懸念があります。また、ロゴを作った時点より企業が成長して、ビジョンや事業内容、規模などとロゴマークのイメージに乖離が生じ、経営者や社員自身が「これじゃないかもしれない」と思ってしまう場合もあります。
本誌の編集長・目黒潤自身にも、MeDeRuの成長の過渡期に、自社のロゴマークを刷新するべきか悩んだ経緯があります。こちらにその逡巡の一部始終が書かれています。「ロゴ、これじゃないかも問題」は、ブランディングの専門家でさえ、頭を抱えてしまう難題なのですね。
いつも見ていたあのキャラクターの、色が変わってびっくり!

おなじみのロゴが醸し出す「安心感」は手放さず、かつ、変化を見せることで「時代と共に歩んでいる前向きなイメージ」もアピールする。その一挙両得を狙える方法として、過去のコラムでは、色だけ変えることでマイナーチェンジするのが有効だとお伝えしました。
こちらです。
確かに、私も幼少期、いつも見慣れていた青いドラえもんが、自然保護キャンペーン(1984年・僕たち地球人キャンペーン)の一環で、グリーンドラえもんになった時にはびっくりして、友達と大いに話題にしたものです。
なお、グリーンドラえもんは2021年以降「ドラえもんサステナブルモード」と銘打って、地球環境を考える啓蒙活動のシンボルとして再活用されているようですね。令和の子どもたちも、話題にしているでしょうか。
まさにマイナーチェンジで注目を集めた、好事例だと思います。
マイナーチェンジで、本当にインパクトを生み出せるのか……

こんなことを言うと、目黒編集長に怒られるかもしれませんが、ここまで書いてみて、私、ふと思ってしまいました。
「ドラえもんは、ドラえもん。ドラえもんがガンダムに変わるほどのインパクトはないじゃないか」と。
マイナーチェンジは、企業(ブランド)のイメージの「核」となる部分を変えないのが大前提。であれば結局、全面刷新のインパクトには適わないのではないか、ということです。
色だけでなく、形も含めて変えたとしても「核」が変わってないなら、マイナーチェンジの範疇でしょう。例えば、グリーンドラえもんに耳がつく、着衣になるといった変化があっても「ああ、ドラえもんだ」というイメージは変わりませんから。
変わっても「らしさ」が健在なのは、もちろん良いことです。
ですが、もし仮に、自社のマイナーチェンジと同じタイミングで、ライバル企業が「らしさ」を脱ぎ捨てるほどの全面刷新をしてきたら、霞んでしまうのでは……。マイナーチェンジであれ、少なからぬコストがかかるはず。であれば、どうせ変えるなら、社会的インパクトが大きい全面刷新に踏み切ったほうが、ブランディングとしては効果的なのでは……。
そんな風に、ぐるぐると頭の中で考えてしまいました。
50年以上、変わらないままのロゴマークが、バズった理由とは?

もちろん、単なる「インパクト重視」「SNSトレンド入り狙い」になるのは、本末転倒です。ロゴマークや、そこに使われているブランドカラー(コーポレートカラー)によって、世の中にどんなメッセージを伝えたいか。それが先です。
でもやっぱり、せっかく変えるなら、インパクトは与えたいよなぁ。人間で言うと「前髪を切った」より「ロングヘアが丸坊主になった」くらい、話題性のある変化をしたいよなぁ。
……と、ぐるぐる考えているうちに、あるロゴマークのことを思い出しました。1969年に誕生した「週刊少年ジャンプ」のロゴマーク(黒一色の海賊モチーフ)です。毎号、表紙と背表紙に必ず入っています。文字の配置等が時々変わっているそうですが、言われなければ違いはわかりません。つまり、誕生から50年以上、マイナーチェンジとすら言えないほどの微調整しかされていないのです。
ですが、このロゴマーク、ジャンプ愛読者の間で2回、バズったんです。2018年と2022年です。ほぼ何の変化もしていないのに、なぜでしょうか。
まず、2018年は――
隠れキャラの存在が発表されました。ジャンプのロゴマークは「左90度に回転させると、女の子の顔に見える」という噂が、ファンの間で都市伝説的に囁かれていたのです。それをジャンプ誌面で「あの女の子はジェイミーという名前で、海賊の妹です」と公式発表。女の子の顔に気づいていた人も、初めて気づいた人も、SNSで大いに話題にしました。
そして、2022年は――
モチーフにされている海賊の名前が決まりました。「ジャーニー」だそうです。TV番組内の公募企画で決まったものでしたが「あのマークに名前ができたのか!」あるいは「今まで名前がなかったのか!」という驚きの声で、やはりSNSが盛り上がりました。
多くのジャンプファンたちが、なじみ過ぎて存在すら忘れていた「おなじみのマーク」への愛着を、一気に取り戻したことだろうな、と想像しました。
この話って「マイナーチェンジのインパクト増強」のヒントになりそうだ、と思うのです。
マイナーチェンジは、ストーリーと合わせ技で

「角度を変えると別人になる」「妹がいる」「名前が付いた」
これは、ロゴマークにまつわるストーリーです。ロゴマーク自体は変化していなくても、これまで知られていなかったストーリーが明らかになった。それが、SNSトレンド入りするほどの注目を集めたのです。では、ロゴマークのマイナーチェンジ+ストーリーを組み合わせたら、もっとインパクトを生み出せるのではないでしょうか。
特別、エンタメ的な演出を意識する必要はないでしょう。真面目に、真摯に「こういう想いがあり、こうなりたいから変えたんです」あるいは「元のロゴマークには、実はこういう想いがあったんです。それが、未来を見据えてこのように変わりました」「変えるにあたって、社内でこんな話をしました」そんなブランドストーリーを添えて、マイナーチェンジを発表してみる。それでいい。
見慣れて見飽きたロゴマークに、グッと愛着と親近感を高めてもらう仕掛けになるのではないでしょうか。
そういえば、グリーンドラえもんも「地球環境を守るために生まれた」と謳われていました。もしかしたら私は、幼心にそのストーリーが響いたから、数十年経った今でも覚えているのかもしれません。
MeDeRu・目黒潤は、色彩関連の3つの特許を取得しており、ブランドカラー(コーポレートカラー)の設計といった色彩戦略に最も強いですが、ブランドストーリーづくりにおいても実績豊富なプロフェッショナルです。
ロゴマークをどう変えるか。
その変化に、どんなストーリーを添えるか。
どちらも、お力になれます。




