2026
07.30

老舗、そこは変えちゃダメ!
リブランディング戦略は「何を変えるか」より「何を変えないか」が大事! その見極め方とは?

50年企業のブランド

こんにちは。

『週刊目黒潤』編集部員Sです。本コラムでは、MeDeRu・目黒潤の数々の仕事にライターやディレクターとして関わってきた私の目線から、目黒の実績紹介もかねて、さまざまな「ブランディングお役立ち情報」をお伝えしていきます。

今回のテーマは「老舗企業のリブランディング」について。世の中にイメージがしっかりと浸透している企業が、時代に合わせてアップデートするために意識するべきポイントを解説します。

リブランディングとは
企業やブランドが、時代や市場環境、ターゲットなどの変化に合わせて「自分たちは何者なのか」「何を大切にしている存在なのか」をあらためて整理し、その価値を社会に伝え直すこと。経営者の志、事業内容や提供価値、企業理念や企業文化、働く人の姿勢、顧客との関係性など、ブランドを形づくっている「中身」を一つひとつ見つめ直し、それらをどのように活用するかを整理した上で、ビジュアルや言葉、提供できる顧客体験などに、一貫性のある「世界観」として反映させる。その一連の取り組みがリブランディングです。

それは決して、過去の否定や流行への迎合ではありません。これまで積み重ねてきた歴史や信頼を土台にしながら「これからの時代において、この会社はどんな意味、役割を持つのか」と、未来に向けた軸を整える行為です。

<リブランディングの例>
・ロゴマークやブランドカラー(コーポレートカラー)の刷新
・ロゴマークやブランドカラー(コーポレートカラー)の活用ルールの整理
・スローガンやタグライン、商品キャッチコピー等の刷新
・ブランドストーリーの再構築
・商品パッケージや店舗デザインのリニューアル
など

愛されているブランドほど、リブランディングは慎重に

従来のブランドイメージが社会にしっかり浸透しているブランドであればあるほど、リブランディングは慎重に行う必要があります。取引先、顧客、社員など、ブランドを知る人々それぞれが、それぞれの立場で「これまでの姿」に愛着や信頼、誇りを持っているから、それが変わること自体に、戸惑いや反発が生まれやすいのです。

実際に、大手化粧品メーカーのFANCLが、ロングセラー商品の容器の色を青から白に変えた結果、青色に慣れ親しんでいた既存顧客層が商品を識別できなくなり、売上が大きく減少。わずか1年で、元の青色に戻すことになったという実例があります。

この商品を私も使っていたのですが、色の変更後、店頭でなかなか見つけられなかった覚えがあります。化粧品って意外と名称を正確に記憶していないもの。まず視覚に頼って探しますし、店員さんに聞く際も「あの青いの」と説明したりするから、色が変わると困ってしまうんですよね。変わったことで初めて気づきました。

「変えるべきではないもの」を変えてしまった結果、起こった騒動と、大きな気づき

上記の件は、失敗例として紹介したわけではありません。元の青色容器に戻した後は、売上はV字回復。スピーディに行動を起こしたことで「FANCLはお客様の声を聞いてくれる会社だ」と、お客様とのエンゲージメント(絆、愛着)も強まったそうです。

さらに、この件を教訓に、社内で「お客様が商品を呼ぶ時に使う『色』は絶対に変えない」という明確なブランディング方針が確立されたとのこと。これまで意図せず行っていたカラーブランディングの重要さに自覚的になったのですね。素晴らしいことです!

そういえば、ドン・キホーテが公式キャラクター・ドンペンの交代を発表したものの、SNSを中心に大きく反発が起こり、発表後わずか8時間で撤回したことがありましたね。結果的に、ドンペンがいかに多くの人に愛されているのかを、世の中に印象づけることになりました。このニュース以降「ドンペンが余計にかわいく見えるようになった」という人、少なからずいると思います。かく言う私がそうです。

いずれにせよ両事例とも、企業にとって「雨降って、地固まった」という側面が強いと思います。当事者の方々には、いろいろご苦労があったことでしょうが、結果的に、FANCLには容器の青色が、ドン・キホーテにはドンペンが「自社ブランドの象徴としてお客様に認知されているのだ」と気づけた上に、そのことを市場に再認識してもらえるきっかけになったのですから。

外からの「そういうところが……」に耳を傾ける機会が必要

もちろん「撤回・再変更を織り込み済みで、リブランディングを試してみるのもアリですよ」なんて、無責任なお勧めをしたいわけではありません。新しいコンセプトやデザインを考案するコストがかかり過ぎますし、必ずしも「地が固まる」結果になるとは限りませんから。

「何を変えるべきでないのか」を、企業自身が気づいていないケースもある、ということを伝えたかったのです。いち個人と同じではないでしょうか。「そういうところが、あなたの良さだよね」と、自分でも気づいていなかった点を評価されて驚いたことがある人、きっとたくさんいますよね。

自社や自ブランドが、市場にどう認識されているのか。競合他社・競合ブランドと、どこが違うと思われているのか。お客様が何を基準に選ぶのか。外からの見え方、市場に与える印象、果たしている役割を知ることが大切です。

とはいえ、企業自身が、外からの見え方に客観的に向き合うのは、なかなか難しいもの。どうしても「こう見られたい」「こう見られたくない」という無意識のバイアスが、客観性を阻害してしまいます。そういう点も、いち個人と同じですね。

ですから、第三者からの「そういうところが……」の声が、とても重要なんです。見る目のある第三者として、ブランディングの専門家であるMeDeRu・目黒潤を頼っていただければ、さまざまなご助言ができると思います。

自社の当たり前を再構築・再定義することで、唯一無二の価値になる

また、必ずしも「何かを変えること」だけがリブランディングではありません。これまで漠然と漠然と守ってきた自社の価値・魅力に自覚的になり、それをより多くのターゲットに、よりはっきりと伝えるために「価値を再定義し、伝え直すこと」も、重要なリブランディング戦略です。

過去に目黒が、創業50周年企業のブランド設計を請け負ったことがあります。清掃・レンタルマット事業を営む地域密着の優良企業で、サービスの質は高いものの、独自の価値がお客様に十分に伝わっていないことが課題でした。

それまでは、経営層も社員全員も、自社を「清掃業」と捉えていました。そこに目黒が新たな角度から企業の価値を見出したことで「空間演出業」として、事業の再定義が実現。同業他社との明確な差別化を果たし、唯一無二の存在感を放つ企業となりました。

詳しくはこちらです。

なお、本件はお客様と目黒の感性が響き合い「こんなことをやりたいね!」と、さまざまなアイデアが生まれたことで、最終的には、ブランドカラー(コーポレートカラー)の設計や、新たな商品開発、研修の設計なども行うことになりました。

変えるか。変えないか。それを判断するためにも、まず一度、自社の価値を見つめ直す時間を持ってみませんか。MeDeRu・目黒潤がお手伝いします。