2026
08.25

色と会議の関係とは?
企業イメージのカラーは、経営判断まで変えるのか?

色×経営

こんにちは。『週刊目黒潤』編集部員Sです。

MeDeRu・目黒潤の仕事を近くで見ていると、企業にとって「色」とは、単なる見栄えの良しあしや好みの問題ではないのだと、何度も思い知らされます。本コラムでは、これまでも「企業の色」をどう考えるべきかについて、さまざまな角度から考察・解説してきました。今回は、オフィス内の空間の色に焦点を当てて「企業の色」について、考えてみます。

■企業の色とは
<ブランドカラー>
商品やサービス、ブランドの世界観や個性を表す色。ブランドを印象づけ、他との違いを伝える役割があります。<コーポレートカラー>
企業そのものを象徴する色。会社の理念や姿勢、企業イメージを伝える役割があります。<「イメージカラーと、どう違うの?」と思った方へ>
イメージカラーとは、その人や会社、商品、活動に対して「多くの人が抱く印象」を色で表したものです。

つまり、ブランドカラーとは「ブランドの世界観」を伝える色。コーポレートカラーとは「企業そのもの」を伝える色。対してイメージカラーは、外から「こういう風に見える」という印象。もしくは、それに基づき、企業側が「こういう風に見せたい」という、打ち出したい雰囲気を表す色。

以上のように整理できるでしょう。

ただし、厳密に「ブランドカラーとはこう」「コーポレートカラーとはこう」「イメージカラーとはこう」と、違いをしっかり頭に入れておかなくても特に問題はありません。重要なのは「経営者がどこまで意識的に色選びをしているか」です。

色は、企業の第一印象をつくります。
色は、社員の意識にも影響します。
色は、商品やサービスへの期待感を左右します。
そして時に、経営者自身の決断のあり方にまで、関わってくるものです。

決断が生まれる場所といえば、会議室。というわけで、今回のお題は「会議室の色彩が、経営判断にどう影響を与えるか」です。

重要な議題を話し合う時、色はどう影響するか

会議室に入った時、さまざまな色が参加者の目に入ります。壁や床、椅子、カーテン。会議資料やモニターに映し出されるスライド……。それらの色彩は、その場の空気や参加者の気持ちに影響を与える可能性があります。

たとえば、椅子の背や壁紙、ブラインドなどが「赤」を基調にしたものだった場合。その場の空気は、どこか前のめりになりやすいかもしれません。赤は、人の闘志を沸き立たせるアグレッシブな色だからです。

なお「赤」の持つイメージについては、過去のコラムで、とある国民的スポーツを例に出して詳しく書いています。よろしければ、ご一読ください。
https://ginza-mederu.com/2026/05/16/the-international-perspective-necessary-for-brand-color/

また逆に、深い青や落ち着いたグレーを基調にした色彩であれば、冷静に比較検討する雰囲気が生まれやすいかもしれません。青やグレーが、見る人の気持ちを落ち着かせる色だからです。

そういった色の力を知っていれば――

「まずやってみよう」
「多少のリスクは取ってでも前に進もう」
そんな思いきった挑戦を後押ししたい時は、赤系の色のある空間で。

「本当に必要なのか」
「ほかに選択肢はないのか」
「長期的に見てどうなのか」
と、一度立ち止まる慎重さが必要な議題は、深い青やグレー系の色のある空間で。

このような使い分けが、できるのではないでしょうか。

もちろん、色だけで会議の結果が決まるわけではありません。けれど、会議室に集まる人の視界に入る色彩は、無意識に人の思考や感情、行動に少なからず影響を与えます。ですから「どんな色に囲まれて話し合うか」を考えてみる価値はあると思います。特に役員会議のように、会社の重要な経営判断を行う場なら、なおさらです。

オフィスのゾーニングが、思考の柔軟性を高める

「挑戦」か「熟考」か。会議の目的は毎回同じではありませんよね。ですから、会議も一つの会議室で行う必要はありません。

「挑戦」に踏み出したい時は、赤やオレンジをアクセントにしたスペースで行う。「熟考」が必要なら、落ち着いて話し合える青やグレーを基調としたスペースで……と、目指すゴール設定に合わせてゾーニングするという考え方です。

「煮詰まったから、場所を変えませんか」
「ここまでノリノリで話が進んだけど、本当に抜け漏れはないかな? 一回落ち着いたほうがいいかも」
などと、状況によって柔軟に場所を移動することも有効です。

オフィスが広くなくても、ゾーニングはできます。
パーテーションやカーテン、ブラインドの色を変える。
壁の一面だけ色を変える。
アートや観葉植物を置く。
会議資料やモニター画面の色を工夫する。
そうした小さな工夫でも、参加者の視界に入る色彩を変えることは十分可能です。

私自身は仕事柄、個人作業が中心なので会議を行うことは多くありませんが、一気に仕事を進めたい時には、集中力を高める色とされる「深い青」の30分砂時計を手元に置き、常に視界に入るようにしています。色の力を借りて、自分のギアを上げているのです。

コーポレートカラーを決める時は、会議室まで想像してみる

コーポレートカラーとして、どんな色を選ぶのか。そこには「社員にどんな姿勢で仕事に向き合ってほしいか」という経営者の想いも反映されます。

「地に足をつけて着実に、一歩一歩進んでほしい」
「失敗を恐れず挑戦してほしい」
「既存の枠にとらわれない自由な発想で、いままでにないものを生み出してほしい」
「目先の利益だけでなく、長期的な視点を持ってほしい」
「自身が常に幸せを感じ、満ち足りた気持ちでいてほしい。それが自然に、お客様へのホスピタリティになるから」
などなど、企業によって社員に求める姿勢は異なるもの。

その「こういう姿勢を持ち続けてほしい」というメッセージを社員に伝えるために、コーポレートカラーは力を発揮します。経営者が、コーポレートカラーの持つ意味に意識的であればあるほど、その色を見た社員が「自分たちはこういう存在なのだ」と自然に納得できます。意識していなくても、その色が象徴する姿勢を、自然と行動に移せるようになります。「色の力」が、会社の機動力を高めるのです。

もちろん「会議室の色彩には、コーポレートカラーを取り入れなければいけない」そんなルールはありません。会議室の色と企業の色を、別々に考えても構いません。ですが、コーポレートカラーを決める際に「会議室でその色を見た社員に、どんな気持ちになってほしいか」まで念頭に入れて考えることは、やはり意味があると思います。

社内で何か「決断」するにせよ「熟考」するにせよ、最終的には「それはわが社にふさわしい答えか」が何より大事だからです。

何を決める時にも、ブレない「わが社の軸」がある
だから全員で実りある議論ができる

「目の前の人を全力で笑顔にする」ことを理念とする会社であれば――

「設備投資をするべきかどうか」
「市場に合わなくなってきた商品を販売中止するか、リブランディングするか」
「リニューアルするユニフォームは、どんなデザインが良いか」
「社内運動会の演目はどうするか」
さらには
「大きな自然災害に見舞われた地域の方に、企業として支援できることがあるか」
といったことまで、社内で議論されるすべてのテーマに対する答えが「目の前の人を全力で笑顔にする」という目的に繋がるものでなければ、理念が嘘になってしまうでしょう。

会議の初めに社長が「私たちがこれから話し合うことは、この理念からブレないでいきましょう」と宣言せずとも、話し合いが「私たちの色」の中で行われる限り、大きくブレることは、きっとない。そう思います。もちろん、そのためには「私たちの色がなぜ決まったか。その背景にどんな想いと、叶えたい未来があるのか」というストーリーが、社内に共有されていることが前提です。

そういったストーリーまで含めて、コーポレートカラーを設計し、社内に浸透させる。コーポレートカラーとして選んだ色を、を社員一人ひとりの中に「わが社らしさ」として根付かせ、芽吹かせる。そこまで伴走するのが、MeDeRu・目黒潤の仕事です。