化粧品、染料としての「紅」
「赤」のことを調べていると「紅」は切っても切り離せません。
化粧品や染料として、華やかで目を引く色でありながら、魔除けの意味も持ち合わせている「赤」をもっと調べたく、本物の「紅」に会って来ました!
伺ったのは伊勢半本店 紅ミュージアム。
紅屋さんは日本では、なんとこちらだけだそうです。
紅づくりに携わる職人さんも、たったの2名になられたそうで、この日はテレビ東京系列で放送されている「和風総本家」の取材が入っておりました。
上の写真は、純度の高い本物の「紅」を点した(さした)私と、水だけで濃淡を付けた「紅」で染めたキューブです!
自分だけの「赤」で彩られる唇
昔の日本では、紅を小皿やお猪口のようなものに刷けて(はけて)、水で溶いて、口紅として使っていたそうです。
本物の「紅」は一種類しか無くて、含ませる水の量を加減したり、重ね塗りしたりして、自分好みの色を出していたそうです。
しかもこちらの「紅」は粒子がとても細かいので、お肌の色素と調和して、お肌の色を隠さずに唇を赤く染めてくれるので、どんな人でもその人に合う赤で、唇を染めてくれるんだとか。
その人だけの「赤」です。
なんだか、ロマンチックですねー。
一色しか無いのに、その人だけの赤を出す、というお話に惚れ惚れして、溜息の連続でした。
素敵な紅皿や紅猪口(べにちょこ)
紅皿や紅猪口の装飾もとっても素敵で、日本の文化や、女心が表れていました(*^-^*)こちらは私が購入したもので、白百合柄の紅猪口です♥
とても高価な赤の染料
「紅」の原材料は「紅花(ベニバナ)」だそうです。
上の写真のお花がそうですが、こちらはドライフラワーにしているのでオレンジ色になっていますが、実際は山吹色(濃い黄色)です。
このお花から赤の染料を摂るのですが、なんと、99%が黄色の染料で、赤の染料は1%しか摂れないそうです!
一皿の紅皿に紅を刷くのに、1,500本ほどの紅花が必要だそうですよ~!ひぇ~!!
なので、本物の純度の高い「紅」は、ものすっごく、高価だということです!!
本物の「紅」は玉虫色に輝く
本物の「紅」の乾いた表面は玉虫色です。
どうしてこのような色になるのか、科学的にまだ解明されていないそうです。
こんなに科学が進んでいる世の中なのに、日本古来の紅の謎は、まだ解明されていない…。
科学の力を持ってしても、紅が勝るんですね。
ステキ!! かっこいい!!
携帯用の紅「板紅」を買いました!
ここまで「紅」の歴史やロマンを聴いていたら、買わずにはいられません!!
で、携帯用の紅である「板紅」を買いました!
こちらのケース、木彫りなんですよ!
木彫りに純銀メッキが貼られています。
そして彫刻されているマークは「宿り木」で、万葉集では「長寿」の意味で詠まれ、さらにこちらの模様は左右対称で「子孫繁栄」を意味しているそうなので、とっても、とっても、めでたいものなのですね!
「赤」には生命力や魔除けの意味もありますから、めでたいケースに入った「紅」は、持っているだけで最高のお守りだと思いました!
高級なオンナにしてくれる(?)本物の「紅」
本物の「紅」は金属の上に直接刷けないそうです。
よって「板紅」はケースの金属の上に漆を塗ってから、紅を刷けるとのこと。
純度が高い本物の紅は乾いた状態では玉虫色で、水で溶くと赤になりますが、黒い漆の上では赤が負けてしまい、玉虫色が溶けて赤になったかどうかが分かりにくいため、一度にたくさん溶かしてしまわないように、お店の方が丁寧に説明してくださいました。
ちなみにこちらの「板紅」、結構なお値段がしましてですね(;^ω^) 19,440円(税込)でした。
無くなったら、6,480円のレフィルだけを買えば良いのですが、約20回の使用分なので、、、巷で売られている口紅と比べると、とても高価ですよね!
でも、塗ると乾いて、カップなどに付きにくいですし、モチは良い気がしました。
それよりなにより、気分がとっても良いです、自分だけの紅を点しているなんて!
この紅を点して、高級なオンナになろうっとーーー!!笑
緑色の下唇がステイタス
乾くと玉虫色になる純度の高い「紅」は、唇に重ね塗りすると、玉虫色に光り輝きます。
唇に1回塗っただけでは赤く染まるだけで、玉虫色になりません。
その昔、歌舞伎役者や太夫(身分の高い遊女)が、下唇だけを重ね塗りして玉虫色に染め、高価な紅を大量に使えるステイタスを誇示したり、自分の存在をアピールしたりしたそうです。
その名も「笹紅(ささべに)」というお化粧法だそうです。
玉虫色は緑に近くなりますから「笹」に例えられたんでしょうね。
現代の「笹紅」を表現してしまった私
普通は何度も重ね塗りしないと「笹紅」状態にならないそうです。
その分、紅もたくさん使用するので、お金持ちしかできないおしゃれですね。
でも、前段でも書いたように、紅の粒子がその人のお肌の色素と調和して、その方だけの紅色を出すので、何回重ね塗りすれば「笹紅」になるかは、その人によって違うそうです。
私は2回塗っただけで「笹紅」に近い状態になり、ゴールドに光り輝いてしまいました(;^_^A
お店の方々に「まぁ、綺麗な笹紅。普通は2回では笹紅にならないんですよ」と褒められ(?)でもゴールドに光り輝く自分の唇が気持ち悪くて、苦笑いしてしまった私です。笑
色のルーツを追い求める旅は続く
今日のように、色のルーツを追い求める旅は、とても楽しいです!
東京都内に限らず、色々なところに出かけて行こうかな♪