02.27

老舗にZ世代を引き寄せるには
価値はゆるぎない。だからこそ必要な「発見」されるブランディング戦略とは?
こんにちは。『週刊目黒潤』編集部員Sです。
本コラムでは、「色」と「言葉」を軸に企業ブランドを設計するMeDeRuならではの、ブランディングお役立ち情報をお伝えしています。また、私こと編集部員Sの超個人的な視点も時々(かなりの頻度で)交えた、企業ブランディングについての考察なども、お届けしています。
今回、目黒編集長から託されたお題は「Z世代に向けた老舗ブランディング」。
老舗企業が、その長い歴史の中で培った「伝統の価値」を若い世代に魅力的に伝え、共感を集め、採用に繋げるために、どのようなイメージ戦略が効果的か。
というお話です。
ずっと見逃していた存在が「何あれ! カッコいい!」に変わった

さて。今回も、極めて個人的な光景について、語らせてください。
私は、大学卒業後から長らく関東で暮らしていますが、近年、家族の都合で地元・広島に戻る機会が増えています。今回のコラムのお題を目黒編集長から受け取った時も、広島にいました。
「どんな切り口で書こうかなぁ」と考えながら、生家の近所をぶらぶらと散歩していた時、ふと目に飛び込んできたものがありました。
大通りから一本入った住宅街の道。100メートルくらい先に見える平屋の建物。その屋根に飾られたロゴタイプ(テキスト主体のロゴマーク)。オフホワイト・ベージュ・焦げ茶の配色で統一されたレトロモダンなデザインに、飾り明朝体。とっても大きいので、遠くからでもはっきり読めます。
『○○○醤油』。○○○はアルファベットです。醤油メーカーの事務所でした。屋号の正式表記は「カタカナ3文字+醤油」なのですが、ロゴタイプでは、カタカナ部分がアルファベット表記になっています。海外市場を意識しているのかもしれません。
思い出しました。数年前に帰省した時、やはりぶらぶらと散歩していて、やはり100メートルくらい手前であの屋根が目に入り、「何あれ! カッコいい!」と、駆け寄ったのでした。そして、『○○○醤油』の下に『SINCE 1920』と、刻まれているのを見たのでした。
1920年は、大正9年。私が生まれるより、ずっとずっとずっと前です。
でも……
私、ずっと知らなかったんです。そこに醤油メーカーの事務所があったなんて。0歳から18歳まで生まれ育った家から、ほんの4、5分のところにあったのに。ロゴタイプに気づいて駆け寄った時、初めて存在を知ったんです。
実は生まれる前から身近にあった「強い老舗」

今回、改めて調べてみると、その醤油メーカーは、地元の一次産業とコラボした醤油を開発したり、地元のプロスポーツチームとタイアップしたり、郵便局との提携で通販ギフトを展開したり、テレビ出演実績も多々あり……と、地域にしっかりと根ざした、まさに「強い老舗」だということがわかりました。
社屋の外観やロゴタイプを現在のものに変更したのは、8年くらい前のようです。母いわく、昔はごく地味な外観で、時々、エプロンをつけたおじさんが、醤油樽を抱えて出たり入ったりしているのを見たことがあるそうです。私は、おじさんの姿も醤油樽も、記憶の端っこにも残っていません。
きっと、外観やロゴタイプの変更がなされていなかったら、私は今でも『○○○醤油』の前を素通りしていたと思います。
「見た目」を変えて、Z世代のアンテナに触れる

何が言いたいかというと。
長い歴史と、申し分ないほど確かな実績がある企業の存在を、私は、すぐ近くで長年暮らしながら知らずにいたんです。姿が変わったから「発見」したんです。
だから、もしも、老舗企業が「うちはしっかりした安定企業なのに、若い人が求人に応募してくれない」と嘆いているのなら――
ひょっとして、気づかれていないだけという可能性、考えられませんか。
すぐ近くにあっても、アンテナに触れなければ、気づかないことはあります。私がそうでした。「見た目」が変わったことで「何あれ! カッコいい!」と、アンテナが触れたんです。
だから、若い人のアンテナに触れるように「見た目」を変える。これ、採用戦略として有効なのではないでしょうか。
内側からにじみ出る、ブレない仕事ぶりのカッコよさ

「若い人のセンスに迎合すべし」という意味では、ありません。
私が、あの大きなロゴタイプを初めて見た時に感じたカッコよさの本質は、「レトロモダンでお洒落」という、上辺のイメージではないのです。
理屈ではうまく説明できないのですが、「すごく美味しそうなお醤油屋さん」「特別なものを作っていそうな場所」に見えたのです。だから、思わず駆け寄ったのです。
本コラムを書くにあたって、ちょっと収集した企業情報によると、
「代々受け継がれたお醤油づくりの手法を、変えずに守っている」
「やむなく廃業された他のお醤油屋さんの味を、引き継ぐ試みもしている」
とのこと。
「らしいなぁ」と思いました。あのカッコいい場所で、そんな信念の通ったブレない仕事が行われている。すごく、イメージに合っていると感じました。
不思議ですよね。そんな仕事が行われている場所だったのに、私は長い年月、気づかずに素通りしていた。でも、「見た目」が変わったことにより、100メートル先からでも、そこにある何かの価値を感じ取った。
ただ見栄えがよくなっただけなら、たぶん「へー、お洒落」で終わっていたでしょう。デザインに本質的な価値が落とし込まれており、それが伝わったからこそ、私の心が動き、駆け寄ったのだと思います。
本物の価値が発見されたら、きっと選ばれる

いち地方の醤油メーカーのお話を、名前も明かさず長々と語りましたが……
本質的な価値を表現する「見た目」を旗印に掲げ、「発見」されましょう、ということです。
ずっとずっと、信念を持って、確かな価値を生み出してきた。それゆえに、企業が長く存続してきた。そしてこれからも、その価値にさらに磨きをかけて、信念を貫いていこうとしている――老舗企業の、そんな「強さ」がちゃんと伝われば、若い人たちはきっと魅力を感じるはず。
長い年月、数々の困難や試練を乗り越えて残ってきたその「強さ」は、本物中の本物だから。
インスタントな価値が次から次へと出てきては、あっという間に消えていく時代だからこそ。「本物の価値を持った企業で、自分の未来を切り拓きたい」と、多くのZ世代はきっと願っている。
発見されたなら、きっと選ばれるはず。
だから、価値を可視化する必要があります。どんな人に、どう発見されたいか。意図的に、戦略的に考え、形にするんです。
ロゴタイプ(ロゴマーク)や社屋外観のデザインに限りません。企業スローガン、タグライン、キャッチフレーズやキャッチコピー、ブランドカラー(コーポレートカラー)等々、価値を伝える形はいろいろあります。
企業の価値を「色」と「言葉」で可視化するブランド設計士、MeDeRu・目黒潤と一緒に、老舗の価値を次世代へと繋ぐブランド戦略を描いてみませんか。
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