2025
12.23

企業の「見た目」とは?
変えないことが価値になり、リスクにもなる

50年企業のブランド, 色×経営

こんにちは。『週刊目黒潤』編集部員Sです。

本誌を一人でも多くの方の目に留まるものにするべく、今回より、私がお役立ちコラムの執筆を担当します。よろしくお願いします。

編集長・目黒潤は「色」と「言葉」を軸にした企業ブランディングの専門家。企業の唯一無二の魅力を可視化するブランドカラーの設計、経営者の想いを乗せた会社スローガンやタグライン、キャッチフレーズの作り方、心に刺さるキャッチコピーの作り方など、お手伝いできることがたくさんあります。本コーナーにて少しずつご紹介、解説していきます。

編集部員Sの新コラムの幕開けとして、編集長から預かったお題は<50年企業の「見た目」の老朽化問題>です。 

 

◆変わらないことから生まれる価値

長い歴史のある企業は、ずっと変わらない「見た目」であるからこそ、世の中に愛着と安心感を持って受け入れられている。自社の本質を表す「見た目」を持つことが、いかに重要か。

◆変わらないことのリスク

慣れ親しみ過ぎたがゆえに飽きられる、鮮度が落ちる、時代と合わなくなってくる……ずっと同じ「見た目」を貫けばいずれ必ず生じる課題と、どう向き合うか。

 

上記のトピックについて、具体例や私個人の視点も交えつつ、わかりやすく、お送りします。ターゲットや方向性の明確化、マーケティング戦略の立て方、従業員との意識共有など、企業の課題やお悩みごとの解決に、何かしらのヒントになれば幸いです。

一貫性のある「見た目」がブランドを強くする

 

 
企業の歴史が長いこと。それ自体が大きな強みです。世の中に価値ある存在だと受け入れられ、信頼され、愛されている企業でなければ、長く存続することは決してできませんから。

では、どうすれば「この会社は、長い歴史を持っているんだな」と、多くの人々に知ってもらうことができるでしょうか。

有効な方法の一つが、一貫性のある「見た目」と「言葉」を持つこと。

「見た目」とは、例えばロゴマークや社屋、店構え、製品、各種販促ツールなどの色や形、柄といった視覚情報全般。「言葉」は、会社名やキャッチフレーズ、キャッチコピー、スローガン、タグラインなどですね。もちろん、それらの「言葉」が何かに印字されれば「見た目」の一部になります。

(「キャチコピーとキャッチフレーズの違いは」「タグラインとは何か」といったことも、いずれ、本コラムにてご紹介したいと考えています)

そういった「見た目」が同じであれば、「子どもの頃にあったこの会社が、まだ続いているんだ!」「この商品が、まだ売られているんだ!」とわかり、長い歴史が一目瞭然です。特にロゴマークは「色と形」でイメージが瞬時に伝わるので、強く印象に残ります。

おなじみのロゴマークのおかげで、安心して手に取れる

 

 
いきなり個人的な話になりますが、私の母はポテトサラダをよく作ります。マヨネーズは、くりくりおめめの赤ちゃん天使マークでおなじみの銘柄しか使いません。あのロゴマークを模した人形が私の生家にもあり、幼少期はままごと遊びに使っていました。懐かしいです。

現在80歳の母は緑内障で視力が落ち、「商品の文字が見づらくて、一人で買い物するのが大変になった」と日々ぼやいています。しかし、ロゴマークの形は判別できるようで、マヨネーズ売り場では、一人でも、もたつくことはありません。

ずっと変わらないでいてくれるからこそ「これこれ」と、安心して手に取れるんですね。これも一貫性のある「見た目」の価値ではないかと、個人的には感じています。

もしも、ロゴマークが1年や数ヶ月単位で変わっていたら、どうでしょうか。目印を失った母は、一人では買えなくなります。メーカーの不親切さを感じて、嫌いになってしまうかもしれません。

そもそも固定のロゴマークがなければ、覚えてもらうことも難しいでしょう。ただでさえ、ものが溢れている世の中です。商品名だけでは「この前買ったあのマヨネーズ美味しかったんだけど、なんて言ったっけ」と、わからなくなってしまう人は多いはず。

「名前忘れちゃったけど、あのマークの、あれ!」その積み重ねが、固定ファンの獲得、シェア拡大といった効果を生み、長い歴史につながるのではないかな、と思います。

変えない期間が長過ぎると、失われるものもある

「変わらないこと」は大切。ですが、あまりにもいつも同じだと、新鮮味がなくなります。目の前にあっても意識されない、心にインパクトを与えない存在になってしまいます。いわゆるマンネリ化ですね。

また、時代と共に人の感じ方は変わります。作った当時は斬新だったものが、いまの世の中では「古くさい」「ありふれて没個性」な印象になってしまっていることもあり得ます。

時代に迎合する必要はありませんが、その時代の人々の感性にアンテナを張っておくことは大事。でなければ、自分たちの伝えたいイメージが、世の中に伝わらなくなってしまいますから。

未来を見据えている企業は、思いきりよく変化する

 

 
自社の目指す方向性が変わり、その結果として「これまでの見た目が、自社のイメージ、世の中に伝えたいメッセージにしっくりこなくなってきた」「よりふさわしい見た目があることに気づいた」ということもあり得ます。

<具体例>

スターバックスが2011年の創業40周年を期に、ロゴマークの枠と「STARBUCKS COFFEE」の文字を削除し、「コーヒーの枠を超え、グローバルなライフスタイルブランドとして多角的な事業展開を目指す」という未来への意思を表明したのは有名ですね。

日本でも、まさに2025年の3月、あぶらとり紙でおなじみの京都のよーじやが、60年間も親しまれてきたロゴマークを大きく刷新。「おみやげの店」から「京都発のライフスタイルブランド」としてリスタートする旨のコメントが発表されました。

「変えてほしくなかった」「前のほうがよかった」という声も少なからず上がっているそうですが、それも、前のロゴマークが長い年月をかけてしっかりと浸透し、愛されてきたからこそ。

私自身も、小学校の修学旅行であぶらとり紙をおみやげに買って以来、あの手鏡を持った女性の絵に愛着を感じていた一人です。ですが、60年分の価値が蓄積された「見た目」を刷新するという、勇気ある決断には感服しました。新ロゴマークを旗印にしての次なる挑戦を応援したいです。

そして実は、MeDeRuも一度、方向性の変化を理由にロゴマークを変更しているのです。迷いを経ての決断でした。詳しくはこちらで。

変わるタイミングは、逃さずに

 

 
企業の「見た目」は、長く変えないことが価値になります。そしてまた、変えるべきタイミングを逃さずに変えることで、次の価値を生む第一歩になります。適切なタイミングは企業それぞれですが、一つの目安としては創業から50年前後。もしも、50年以上「見た目」を据え置きにしているなら、一度立ち止まって見直してみてはいかがでしょうか。

「見た目」を決める。「見た目」を変える。そうすべきタイミングに気づく。すべてMeDeRu・目黒潤が、専門家としてお手伝いできます。まずはご相談ください。