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お仕事のこと

仕事の神様

私は新卒で会社員になった時から仕事に人生を捧げているので、ドン底に落とされるのも、またそれを救ってくれるのも「仕事」です。
 
そんな中、「仕事の神様はいる!」と確信したことが2回あります。
 
2回とも、企業の宣伝部に在籍し、クリエイティブ全般のディレクターをしていた時の話です。
 
1つは、ある台風の日に会社の看板が吹っ飛んで道路に落ちてしまい、通行車が急ブレーキを踏み、あわや大惨事となる寸前で、付近の住民から警察に通報された時の話です。
 
看板設置の責任者として、現場に行き、ボロボロになった看板の残骸を引き取って、菓子折りを持って、警察に通報した住民の方に謝りに行きました。
 
誰かについて来てもらって、ゾロゾロと謝りに行くのはダサいと思ったので、一人で謝りに行きました。
 
方々に謝りに行って、心身ともにボロ雑巾のように疲れ切って、半ば泣きそうになりながら、夜の11時頃、帰りの電車に乗りました。
 
そしたら!!
 
私の目の前に、私がディレクションした新聞誌面広告を、私の方に向けながら、新聞を読んでいるビジネスマンがいたのです!!
 
その新聞は朝刊なのに、夜の11時頃に、広告を作った張本人の私に、その広告を真正面から見せながら、新聞を読んでいるビジネスマン。
 
神様だ、神様はいる。
 
ボロボロに疲れ切ったうえに、明日書く始末書のこと、上司に説明すること、看板設置業者との今後の折衝のことを思い、気が重くなっていた私の目の前に、パーっ!と光が見えた出来事でした。
 
そしてもう1つは、また新聞誌面広告が絡みます。
 
誌面広告の原稿を入稿して、終わった終わった〜!お疲れ私!と、解放感に浸りながらチャーでも飲もうかと思ったのですが、なにかがおかしい。
 
なにか、胸騒ぎがする。
なにか、変。
落ち着いてチャが飲めない。
 
本能的に、数分前に入稿し終わった原稿を見直しました。
 
そしたら…。
そ、そしたら!
 
あり得ないことが!!
 
路線図を載せた広告で、山手線と日比谷線が、図で描かれていました。
 
山手線は円で、日比谷線は直線で。
 
そしたらなんと「渋谷」で、山手線と日比谷線が交わっていたのです!
 
日比谷線は「渋谷」には停まらないのに!!
 
心臓がドクン!と揺れて、全身の血が逆流するかのように感じました。
 
そして一瞬、このまましらばっくれようかと思いました。
 
もう入稿してしまったし、止めるのは労力がかかる。
こんな小さな路線図、誰も気付かないんじゃないか。
 
でもでも、やっぱり!
 
誰も気付かないかもしれないからといって、間違えていることをそのまま載せるわけにはいかない。
 
止めよう、止めなきゃ!
 
方々に電話しまくり、と同時に、デザイナーに路線図の描き直しをお願いして…ということをやりました。
 
間違えた原稿はすんでのところで止まり、正しい原稿を入稿し直して、私は首の皮一枚で繋がりました。
 
まぁでも、表面的には何事も無く、普通に新聞誌面に広告が載った…くらいの扱いなので、誰も私がこんなに汗をかいたことは知りません。
 
神様が「虫の知らせ」のような方法で私に教えてくれたお陰で、表面的には穏やかな新聞誌面広告になりました。
 
もし、後で発覚していたら。
 
私は社内的にも社外的にも信用が無くなり、後で「訂正広告」を載せることになったでしょうから、会社にも恥をかかせ、金銭的にも損害を負わせていたと思います。
 
この2つの出来事は、10年以上経っても色褪せること無く、「仕事の神様はいる」と私に言ってくれる出来事なのです。